過去から何も学べない人間達が
どうやって美しい未来を作っていくのだろう
なんでも手に入るという豊かな社会
手に入りそうでいて手応えはない
争いが笑顔に置き換わる平和な世の中
置き換わったのは笑顔から憎しみへ
ものづくりとまかなえる知恵を捨てた文化は
進歩という影の中に多くの人間が忘れ去ろうとしている
大切な物事を失っていく
何があろうと惑わされることのない
力強く根を張るような暮らしや営みは
人がゴミのように見える都会の中に
矢のような速さで葬り去られていく
鋭いはずの感性も
本能と呼ばれるはずの知性も
理屈を超えて燃え盛る情熱も
現実という幻想の中で いとも簡単に葬り去られていく
すべての人が輝くチャンスなどという安い謳い文句
積極的に施されるのは大きな者への再分配のない利益
小さき者や弱き者が安心につながれるものは
更に弱き者への蔑視と排除
その影で恩恵をうけるのはいつの時代も
王様と利潤の一致する太鼓持ち達
手に入れたはずの幸せな時間も
砂で落ちる時計に似た模倣の品
全てが嘘で書かれた誓いの言葉に
止まりかけた慈悲の連鎖
有と無 是と非 善と悪
堕落とは落ちていくことではない
自分という存在がわからないまま生きていくということだ
昨日の祭りで見かけたギター弾きの男は
風に吹かれながら最後にこう言った
ああ どうにもならぬ事など 何もなかったのです
ああ どうしようもない事など 何ひとつなかったのです
見逃してしまいそうな日常の中に
大切なものを見極めよう
言葉の意味を胸に深く刻もう
たとえこれが
たとえこれが最後の時代になったとしても
次なる時代に向けて 次なる時代に向けて
どうにもならぬ事など 何もなかったのです
どうしようもない事など 何ひとつなかったのです